抗菌作用を持つ材料
無機系抗菌剤とは、銀をはじめとする抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものである。 これら無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、他にも広い抗菌スペクトル性、耐久性、耐熱性に優れていると考えられている。 しかし有機系抗菌剤のなかには熱により分解し、ダイオキシンなどを発生するものもあるが、 一般的に短時間に効果を発揮する「切れ味」の良さという特徴を備えている。
Fig.1に示すように、微量の銀イオンをはじめ他の金属にも同じ様な抗菌作用のあることが見出された(*1)。 この効果は極微作用(Oligodynamic Action)と呼ばれている。しかし、実使用となると、水銀、カドミウムなどの重金属は安全性の点で問題があるため、 使用できるのは銀、銅、亜鉛くらいである。
Fig.1 チフス菌(Salmonella typhii)の生存に及ぼす各種金属イオンの濃度
~最小発育阻止濃度~


(*1)新殺菌工学実用ハンドブック, 467, サイエンスフォーラム(1991)
*引用文献 抗菌製品技術協議会資料
抗菌のメカニズム
銀の抗菌性メカニズムについてまだ完全な結論を得ていない。現在、大きく分けて2つの有力な説が提唱されている。 それが銀イオン説と活性酸素説である。